『82年生まれ、キム•ジヨン』(2019)★★★★☆

★★★★☆

原作本は韓国で130万部以上の販売部数を記録するベストセラーとなった本作。教育や仕事、育児など女性が人生で出会う困難や差別を描いている。
結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン。徐々に心のバランスを崩し、まるで他人が乗り移ったような言動をとるようになる。しかし夫はジヨンを気遣い本人には伝えないようにしている。そんな中、ジヨンは仕事をしたいと思うが子を預ける保育園が見つからない。いよいよジヨンの様子がおかしいということが家族にも伝わり、夫から最近の奇行を知ったジヨンはようやく心療内科を受診することになる。なぜ彼女の心は壊れてしまったのか。

なるほど。これは韓国のみならず世界各国で翻訳され、日本でもヒットするわけだと思った。
日本はここまであからさまな差別はかなり減っているように思う。ただ、それはきっと社会の制度的な性差別が減っているだけで、ベースにある女性をとりまく意識や考え方はあまりジヨンをとりまくそれと似通っている部分がある気がする。女性が負う不自由さや生きづらさ。
私はこの作品を観てる間、自分が新卒で勤めた会社時代にあった色々なことを思い出していた。産休に入るメンバーがいたとき、同じグループの男性が最悪だと言っているのを聞いて、自分も妊娠・出産をする時あのように言われるのだろうかと悲しい気持ちになったことがあったんだよな。何かの懇親会で役員に女の子が近くにきて酒をついでほしいといわれたり。そんな過去の出来事が頭に浮かんできて、傷ついた過去の自分と対峙してしまった。

私たちはそれでも生きていかないといけない。どんな風に?どうすればいい?
ジヨンが最後に自分のやりたいことをはじめたことは同じような境遇にいる母親たちに希望を与えたと思う。

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