『ぼくを探しに』(2013)★★★★☆

★★★★☆
ぼくを探しに

幼い頃に両親を亡くし、そのショックで言葉を話すことができないまま大人になったポール。親代わりに育ててくれた叔母たちはポールをピアニストにしようと一生懸命。そんな中、ポールは不思議な女性マダム・プルーストとの出会いから失われた過去の記憶が呼び覚まされ少しずつ人生が変化していく。

目に耳に情報量が多い。色彩豊かでなんて華やかな映画なんだろう。フランスのアンティーク調のものやオリエンタルなもの、植物に動物、美味しそうなシューケット。そしてとても音楽的な映画で、流れる曲はどの曲も3拍子。ポールの弾くピアノに中国人女性がそっと二胡を重ねるシーンの音楽が美しくてうっとり。

二人の叔母たちがポールの希望とは関係なしにピアニストにしようとしている期待という圧力には辟易してしまったな。叔母たちなりの愛情だとは思うけど、気持ち悪い。あの状況でポールにピアノをやらせる叔母たちの気がしれない。
監督のインタビューを見て知ったけど、ポールのピアノは作り物だそう。普通のピアノより大きくゴテゴテとした飾りもついていて、そうすることで「モンスター化」したピアノがポールを押しつぶすかのような印象を与える効果を狙ったという。

マダム・プルーストと出会い徐々に両親のことを知っていくにつれてだんだんとポールの表情が豊かになっていくのがよい。自分がこんなに愛されていたんだと。 
〝どちらもお断り
 決めるのはこの子
 好きな道を行けばいい〟
あの歌には母の愛が詰まっていたなぁ。

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