『佐々木、イン、マイマイン』(2020)★★★★☆

★★★★☆

俳優になろうと上京したもののなかなか芽の出ない石井悠二は、すでに恋人としての関係が終わっているユキとの同居もなかなか解消できずにいる中、高校時代の同級生だった多田と再会したことを機に、校内のカリスマ的存在であった佐々木との日々を回想していく。停滞ぎみだった日常は徐々に変化し、数年ぶりに佐々木から着信が入るのだが。

本作は、佐々木を演じた細川さんが映画『ヴァニタス』で組んだ内山拓也監督に高校時代の忘れられない友人の話をしたことからスタートしたとのこと。だからこんなにもリアルなんだな。

悠二が取り組んでいる芝居のセリフが悠二が直面する現実と過去とにリンクしている演出とラストの爆発的な盛り上がりがとてもよかった。エンドロールの「化粧」もいい。

社会人になると学生時代の友人たちと会う頻度が下がるけど、記憶の中には学生時代の頃の友人たちがそのままいて、会うと不思議とあの頃に戻って普通に話が出来てしまうという不思議。その記憶が自分の支えになっていたりして。その頃の些細な日常が実は貴重だったのだと気づいたりもする。そしてあの時感じていた無敵感もいつかはなくなるなんてその時はわからなかった。

佐々木、愛すべきキャラクター。お調子者だけど、周りのことも考えていて、まっすぐで、熱く、やり遂げる芯の強さがあって。佐々木は青春時代の記憶に残る存在であり、みんなの青春の象徴そのものなんだよな。

ラストで佐々木の父が死んだ後にはできなかった佐々木コールで佐々木を弔うの良すぎる。

〝お前はいつだって言っているんだ、さよならを。いつだってどんな時だって。なぜならそれが人生だから。長い長いさよならなんだ。そうしていつか最後のさよならにたどり着く。それは自分自身へのさよならだ。〟

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